バックオフィスには、年次有給休暇について
次のような問い合わせが、くることがあります。
「時間単位の有給や半日有給って、制限なく取れるのではないのですか。」
時間単位年休と半日有給は、勘違いが起きやすい制度です。
この違いを正確に理解できていないと、従業員からの問い合わせに対して余計な時間と手間がかかります。
今回、時間単位年休とは?半日有給とは?について、調査をして、記事にしました。
この記事を読むと、時間単位年休と半日有給の法的なルールの違いが学べます。そして、問い合わせ対応の時間短縮ができますよ。
1.すっきり分かる、時間単位年休と半日有給。
2019年の働き方改革法案の成立により、年5日の年次有給休暇の取得が義務となりました。
以前より有給が取りやすくなったことで、有給に関する問い合わせも増えてきたと思います。
ここでは、勘違いしやすい、時間単位年休と半日有給の違いについて、簡潔にお伝えします。
1-1. 時間単位年休とは
時間単位年休とは、文字通り、有給休暇を時間単位で区切って、取得できるものです。
- ちょっと病院にいきたい。
- 夕方に子供が熱を出して、保育園に迎えに行く
など、比較的柔軟に有給休暇が取得できる仕組みです。
取得の条件は次の通りです。
- 労使協定で以下の事項が締結がされていること
- 時間単位年休の対象労働者の範囲
- 時間単位年休の日数
- 時間単位年休1日の時間数
- 1時間以外の時間を単位とする場合のその時間数
- 就業規則に時間単位有給に関する労使協定の内容、時間単位年休の賃金に関する内容等の定めがあること。
時間単位年休は、年に10日以上、有給休暇が付与される従業員に対する、年5日の有給休暇取得義務の5日の中に含めることができません。
また、労働基準法第39条4項で定めてある通り、時間単位年休は5日分しかとれません。
賃金については、次の通りです。
会社ごとに就業規則内に定められた、1日単位の年次有給休暇取得の賃金から、所定労働時間数を割った金額が、時間単位年休の1時間に該当する賃金。
比較的、都合よく使える時間単位年休の仕組みですが、休んだ時間数の把握が大変というのが、労使ともに共通する悩みだと思います。
1-2. 半日有給とは
半日有給とは、文字通り、有給休暇を半日単位で取得できるものです。
時間単位年休と同じく、1日はかからないけど、済ませたい用事を、こなすのに、半日有給の取得は便利です。
取得の条件は次の通りです。
- 就業規則に半日有給に関する内容が規定されていること。
- 労働者の希望により、時季を指定し、使用者が同意した場合。
半日有給は、年に10日以上、有給休暇が付与される従業員に対する、年5日の有給休暇取得義務の5日の中に含めることができます。
また、法律上、半日有給は取得回数に制限はありません。
ただし、半日有給の取得が増えると労務管理が複雑になるということもあり、会社によっては、就業規則内に取得回数制限を定めている場合があります。
半日有給に関する労働時間の区分
- 昼休憩を境にAM・PMを分ける場合。
- 均等に所定労働時間を2分割する場合。
実務上はAM・PMで分けられている場合が多いですが、会社によって異なるため、確認が必要です。
1-3. 勘違いしやすいポイント
時間単位年休と半日有給の勘違いしやすいポイントを次にまとめました。
- あり⇒時間単位年休(5日)
- なし⇒半日有給(就業規則内で制限の記載がある場合あり。)
含めることができるか
- できる⇒半日有給
- できない⇒時間単位年休
- 必要あり⇒時間単位年休
- 必要なし⇒半日有給
2. 管理が大変…時間単位年休と半日有給
労務を扱うバックオフィスのメンバーにとって、一番気になるのは、年次有給休暇取得日数管理や勤怠管理ではないでしょうか。
有給申請等のワークフローが紙ベースで運用されている場合は、申請書が労務管理者のもとに届くまで、半端な打刻時間が、何に該当するか分かりません。
また、子供の病気や、家族の看護・介護などで突発的に申請書提出前に休みの取得があった場合、休暇申請漏れが発生することもあります。
それに加えて、従業員も休暇取得日数や休暇残日数を正確に把握していることは、少ないので、バックオフィスには、「有給は、あと何日残っていますか」といった問い合わせが絶えません。
しかし、このような悩みは、勤怠管理システムを導入することで解決が可能です。
以下の記事に勤怠管理ツール導入のメリットについてまとめてあります。
よかったら参考にしてみてください。
3. 結論、時間単位年休と半日有給は、何回とれるか。
- 時間単位年休は、年5日分取得可能。
- 半日有給の取得に制限は、基本的にない(就業規則への記載による例外あり)。
4.(おまけ)従業員の利便性、管理部の負担。有給休暇編
時間単位年休や半日有給は、本当に便利な休暇制度です。育児や介護、他にも様々な理由で休暇を柔軟に取りたいというニーズは多いと思います。
深刻な少子高齢化も加速する一方で、業務非効率な会社は若年層から、忌避されるような風潮にあります。
ただ、業務効率化が進んでいない企業では、時間単位年休や半日有給の取得に柔軟に対応するのが難しい現状があるのも理解できます。
少しずつでも良いので、勤怠管理システム導入も含めて、働き手の休暇に関するニーズに柔軟な対応を取れるようにしておくことが、これからの会社にとって必須と言えるでしょう。
バックオフィスの問い合わせ対応効率化のために、この記事が役立つことを願っています。
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